2021年06月12日

だれでも出来る陶芸絵付けスーパーテクニック

陶芸の絵付けって難しいでしょう? 今日はだれでも出来る絵付けの裏技を紹介します。

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こんな絵付けってどうです。「思い以上に迫力のある出来栄えだ」と胸を張って言えそう。

「でも難しいんでしょう?」と思ってますよね。でも、少しのポイントを抑えればそんなに難しくはなくて、超簡単とは言えないかも知れないけど、いい作品が出来る事ギャランティー。

絵付けと言うと、呉須で描いたり、上絵具を準備したり、そして一般の陶芸教室では出来ない還元焼成だの上絵付焼成など、出来ない事ばかり。でも、この方法であれば、有田や九谷の赤絵に近いものが出来ると思います。 でも、最低の条件を守る事が必要だけど。



スーパーテックニックとは?


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「これって上絵付じゃないの?」と思ってませんか、「残念外れ ブー」です。下絵付けとイングレーズの絵付け見たいなものかな。

いいかっこして”イングレーズ”などと多分知らない言葉を使ったけど、イングレーズは上絵付の技術で、上絵付をして焼成すると、絵具が釉薬に溶け込んで絵付けが出来るものなんです。でも、これだと上絵付の絵具や上絵の焼成が必要になりますよね。

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それでは、そろそろ種明かしをしましょう。この絵付けは”下絵と釉薬による技法”なんですよ。だから、陶芸教室のレベルでも十分使える簡単な技法ですよ。

そう聞くと「何んだそうなんだ。簡単そう」と思うでしょう。

絵具は、赤、ピンク、グルーン、特グリーンの下色絵具、そして釉薬は土灰釉です。

「どうしてこんなに発色が良いの?」と思っているでしょう。このブログを継続して読んでいただいている方は、少なくと陶芸に関する知識はいっぱいのはずですから、当然そう思うと思います。

それから釉薬は土灰を基本にしているけど、緑、黄色、枝の茶色は透明の色釉を少量使ってます。



絵付けの手順と技法


まずは生地だけど、出来れば磁器土。でも磁器土は難しいから、信楽の白などでもOkay. 出来れば、良質なものの方が発色が良くなるでしょう。

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最初は少し大き目のモチーフを選んでイッチン描きをします。

陶芸用 カラー泥ペン 白 70ml
陶芸用 カラー泥ペン 白 70ml

「イッチン描きかい。易しくないじゃん」と思ってるあなた。陶芸ショップなどで、プラスチック容器に口金が付いたのを売ってるから、これを購入するか、私のブログにあるイッチンの作り方を見て自分のイッチンを作るのも良いし、ケーキ作り用のアイシングバッグに0.5~0.7㎜位の口金を付けます。

[陶芸] イッチン先金 小 - 陶芸ショップ
[陶芸] イッチン先金 小 - 陶芸ショップ

後は、白化粧土の沈殿しているもの(上水を取る)をマヨネーズ程度の硬さにして描くだけ。描くのは、素焼き前の生の状態で。

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イッチン描きは、花びらや葉の輪郭だけで良いです。そして、これがポイント。花の筋や葉脈は陶芸用の針で描きます。上の写真を見て。針で描いた葉脈が見事に浮かび上がってます。これは、素焼きが終わって、色呉須で塗ると針の溝に呉須が溜まって、濃くなる為です。これを筆で描けるのであれば、あなたは一流の絵付け師さんですよ。

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素焼きが終わったら、上の写真二つのように色呉須で絵付けをします。「発色が弱いから、厚つ塗りをする」人が多いけど、これ”厳禁”。絵具が釉薬をはじく原因になり、”縮”と言って釉欠けの原因になります。



発色を良くするための裏技


着色が終わったら、土灰釉で施釉。石灰は良く縮れが出る為土灰釉を使います。

”土灰釉”と言うと”土の釉薬?”と思う人が多いですが、さにあらず。土は雑木と言ういう事なんです。

普通の濃さの土灰を掛けたら、次のステップ。この部分が裏技。

緑の織部、茶の飴釉、黄色の檸檬釉を筆塗りします。もうお分かりですね。色は釉薬の色なんです。そして、釉薬は透明系の釉薬である事。そして、同じ焼成のものを選びます。酸化と還元の釉薬を使うのは不可です。

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「色が足りない」と思ってますね。そうです。足りません。

ではどうする。土灰釉を少し準備します。それに下絵の絵具を加えます。この場合は赤、ピンクです。

土灰釉を小さな器に少量とりわけ、少し色が付く位絵具を加えます。大事なことは絵具によってその発色が違います。今回は赤の発色が少し濃すぎました。ピンク位の方がよかったと思います。

結局は土灰釉に顔料を混ぜて色付けをしているだけですので、全て透明釉で、下絵具の発色も見えますから、グラデーションを付けるのに最適です。




まとめ


削り終えた段階で、モチーフをイッチン描きします。細かな線は、陶芸針で。そして素焼きへ。

素焼きに下絵具で着色します。薄い絵具を溜めるように。針で描いた線が浮かびます。

土灰釉を掛け、それぞれの部分を色釉薬や、土灰釉を下絵具で着色したもので筆で着色します。立体感が出るようにグラデーションの方向を意識して。(上の葉っぱのグラデーション、いいね)

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イッチン描きの必要性は二つ。釉掛けをしても、絵付けの部分か分かる。そして、色釉を塗った場合、流れやすい釉薬(織部等 例)の流れを止めてくれます。

今回の絵付けでは、花はピンクと赤を使ってますので、それぞれの花の色を事前にメモしておきましょう。

赤にピンクを塗ったり、その逆で会ったり、”やっちゃた”と本焼きでがっくりすることがないように。

最後にもう一つのメリット。上絵付でも多分出来るでしょうが、この方法であれば、酸化焼成一回で済みます。又、上絵付は、鉛等の問題がありますので、この方法であれば、基本的には下絵付けですのでその心配が不要です。


これであなたもプロの絵付け師。。かも?

ラベル:陶芸
posted by ノーマントミタ at 16:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 未分類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月09日

陶芸電気窯の入荷 日本電産シンポ DMT-01

今週は待ちに待った陶芸用の電気窯が我が家に到着しました。この準備などに時間が掛ったためにブログは少し休ませて頂きました。

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これが我が家に設置された日本電産シンポの電気窯です。設置場所は以前子供部屋として使っていた7畳ほどのフローリングの洋間です。この窯は、家庭用に設計されており、100V 15Aの電源があれば使えます。カーペットや畳の上では使わない様に書いてあります。大きさは、高さ75cm 横、60cm、奥行き 58cm程なんですが、実際に設置してみるとデカい。

最初はベランダに置こうかと思っていたんですが、フローリングは大丈夫とのことで、多くのユーザーが設置しているらしいです。屋内で本焼きをすると庫内が1270度位になりますのでやっぱり心配。と言う事で、焼成時の移動を考えて、キャスター付きの台を自作しました。詳細は述べませんが、メーカーの電産シンポから、底の図面を入手して杉の木を使ってすのこ状に組み上げキャスターを4隅とセンターに一個付けました。結果は完璧なものが出来上がりました。これで、フローリングからの距離も稼げますので、ほぼ熱による問題はないし、簡単に移動できます。

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この窯はマイコン仕様で、基本となるプログラムが10個、そして任意のプログラムを10個程追加できます。早速試運転の400度をやり、窯のテストと湿気取りをしました。次は、上絵付の作品を6点入れて、上絵付の焼成です。温度は800度と設定しました。

窯の上に温度計をおいて測定をしましたが、室温の温度25度が全く変わらず焼成が進みました。窯は65キログラムもあり、黒猫ヤマトの方2名が階段を下りて運ぶのに苦労してました。(エレベーターがスキップ方式)

この重量は家庭仕様の為、耐火煉瓦で周囲が被われており、冷却ファンが始終回り、窯の外を空冷してます。これで一安心。火災の心配はなさそうだし、電源のサーキットブレーカーが落ちる事もありませんでした。これで第二難関突破。

その次が臭い。この窯にはガスや水蒸気抜きの穴はありません。上絵付でも、450度くらいなるまで、ガス抜きが必要と書いてある本もあります。又、素焼きであれば、水蒸気を外に逃がしてやる必要があります。販売店に聞くと、窯は完全密封の状態になく、隙間からガスは抜ける為、前扉を開いておく必要はありませんとの事でした。

今のところ、上絵付として窯を使いますので、臭いが心配でした。臭いはします。鼻の機能が衰え始めた家内は臭いはないと言ってましたが、最初は強い臭いがでます。

我が家はマンションですので、隣近所からのクレームがあれば、困るんですが、窓を全て解放して空気の換気をしていれば、外では臭いに気付くことはなさそうです。これが問題になるのであれば、家庭から出る料理の臭いの方がよっぽど強いと思います。これで、第3の難関はギリセーフと思います。

でも、頻繁に焼成をするのは避けたいと思います。



初回上絵付作品


今回は、下の写真のマルチフェイス花瓶 三個と蓋物三点の六点の焼成をしました。

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今回掲載の作品は、ポーセラーツ転写紙での絵付けです。絵付け(?)と言えるかどうか分かりませんが、転写紙を少し温めの水に浸け、これを貼り、空気と水抜きをするだけです。転写紙の台紙は焼成で燃えて絵具のみが作品に定着します。

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マルチフェイスは白いバラ。素地は磁器土に石灰透明釉。口には口紅。

そして、二番目の写真の蓋物は、赤いバラなどを適当に貼り揃えました。信楽の白土に土灰釉。ある本に、土灰釉の方が上絵付け絵具の食いつきが良いと書いてありました。

両方の作品とも、非常に気に入ってます。これであれば、技術に見合った価格で販売できるのではないかと思います。

写真写りは悪いですが、私の自信作。これは以前から、私の同僚から言われてもいたことなんですが、私の陶芸は、この様な、フォルムと装飾(絵付け)に強みがあるのではないかと思います。これであれば、窯を購入した意味もあったかなと思います。

我が家の貸倉庫には大量の作品がありますので、これから時間を掛けて加飾を進めて行こうかなと思います


ラベル:陶芸
posted by ノーマントミタ at 18:09| Comment(2) | TrackBack(0) | 未分類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月30日

陶芸に素振りは必要 大物花瓶の制作

大谷の活躍が凄いですね。アメリカのメディアでは、毎日のように大谷が取り上げられています。大谷はベーブ・ルースをはるかに超えているとか、今日のヤフーニュースで書いてありました。

先週は、昨日の絵付けをやったり、そして、磁器土での大物花瓶の制作をやってました。

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こちらの一輪挿し。着色も終わり釉掛けへ。ここで少し変わった釉掛けをします。下絵付けは、素地が磁器土であっても発色が弱くなったりしますね。これを補う技法です。まずは、土灰で施釉します。石灰透明でもいいのですが、この後の加工で土灰釉の方がいいようです。

絵付けは、赤、ピンク、緑、特グリーン、錆(茶)、黄色を使いました。赤、ピンクは土灰に少し顔料を加えます。顔料と言っても下絵具を使って大丈夫です。後の色は、釉薬を使います。緑は織部、錆は飴釉、黄色は檸檬釉を使います。そして、土灰の上からこれらの色を筆塗りします。

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そうすると、それぞれの色が強調されて発色が良い作品になります。これで、本焼きへ。焼成は酸化焼成。釉薬は全て、酸化の釉薬か、酸化・還元でも良い釉薬ですので、酸化焼成します。

次のプロジェクトは大物の花瓶の制作です。久々の筒上げ、陶土では全く問題なく筒上げが出来てます。しかし、磁器土になるとハードルが一段と高くなります。4kg弱の磁器土を使ったのですが簡単に言えば失敗。そこで、この磁土を信楽の白に混ぜて半磁器の土を作りました。比率は50:50。磁器土だけを練り直すと、空気が入る可能性があり、半磁器にすることで、その問題を解消します。

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そして作ったのが上の作品。

約3kgの粘土を作り、筒上げ。やっぱり難しい。ある程度高く上がってはぼほぼOkの高さに上がるのですが、やはり、下の方が厚く、上が薄くなります。

これでも高さがあれば、膨らまして成型、乾燥させて削れば問題はありませんが、プロの轆轤師がやると、上から下まで同じ厚みで上がります。下が15mm厚、上は10mm厚。

最低でもこのレベルに筒上げをしたい。私の場合は下20㎜、上が、8㎜程度。この下の部分の余分な土を上に上げれれば、更に高い均一な厚みの筒が出来ます。

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何度も何度も、土を引き上げる練習をしていたら、やっぱり手の恰好が悪いのに築きました。それと同僚と話をしているともう一つ会話の中でヒントを得ました。それは、なぜ土が上がるかと言う根本の部分です。

茶碗や湯呑の轆轤挽きは、基本的には、内外から土を挟むことで、挟まれた土に圧が掛かり、逃げ場を失った土は上か下へ移動します。

この上か下かは、手の合わせ方で決まりますが、基本的には内側の指が、外側の指の少し上になります。

小物ではどんな形でも土を上げることは出来ますが、何故筒上げは難しいかと言えば、土の量でしょうね。分厚い土を挟んで圧を掛けるのですが、最初は5cm位の厚みですので、内側の右手の指と外側の指の位置が中々分かり難い。そして、結果的に上手く土が挟まれていない。その為、上がった土を逆に下げてしまったりしてます。これが上手く上がらない原因です。

上の作品2点は潰すことにします。水曜日の最終日は、轆轤2台を使って筒上げの練習を同時にやっていたんですが、成型に時間が足りなくなって、両方ともに不細工な作品になりました。鶴首のところをもう少し半分位にすれば、それなりになっていたとは思います。細くすれば、高さも稼げますので、いい形にはなったと思いますけど、まだ筒上げの技術が不足してますから、来週練習を重ねたいと思います。



筒上げの手のフォーム


前述のように、筒上げの成否は両手のフォームにあります。

両指で挟んで掴んだ土を最初から最後まで、緩めることなく圧を掛け続けて、自然に土が上へ伸びて行くようにします。

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左手はこの恰好で(ガラス板を使ってデモします。それにしても、手が日焼けで真っ黒)、上げて行く土は人指し指の鍵に曲がったところで、内側の人指し指に合わせます。

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内側の右はこんなフォームで。外側の左手指と合わせますが、合わせた感覚がつかめない人は、右て人指し指を伸ばしても良いです。

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この二つの手の指が合わさった形になります。

そしてもう一つの大事なポイントが、左ひじは左脚に載せない事。最初は載せていてもいいのですが、上に行くにしたがって、左脇を締めて、この手の形を崩さないように、ゆっくりと土を両手で挟み、最後まで引き上げます。

これが出来ていなかったのが私の上手く行かない原因でした。

同僚たちと話していると’やっぱり、素振りが大事なんだな”と言ってました。

これは実に的を得た表現で、ゴルフ、テニス、玉突き、ボーリングなどの基本は正しいフォームを身に付ける素振りが大事なんです。そしてゴルフで言えば正しいグリップ、アドレス、グリップ。ともすると、指先だけになりがちですが、基本が大事なんだと思いました。

皆さんの中で陶芸で悩む事があれば、基本に立ち返ってフォームを見直したら、目から鱗かも知れませんよ。”開眼”

ラベル:陶芸
posted by ノーマントミタ at 07:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 未分類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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