陶芸の絵付けって難しいでしょう? 今日はだれでも出来る絵付けの裏技を紹介します。
こんな絵付けってどうです。「思い以上に迫力のある出来栄えだ」と胸を張って言えそう。
「でも難しいんでしょう?」と思ってますよね。でも、少しのポイントを抑えればそんなに難しくはなくて、超簡単とは言えないかも知れないけど、いい作品が出来る事ギャランティー。
絵付けと言うと、呉須で描いたり、上絵具を準備したり、そして一般の陶芸教室では出来ない還元焼成だの上絵付焼成など、出来ない事ばかり。でも、この方法であれば、有田や九谷の赤絵に近いものが出来ると思います。 でも、最低の条件を守る事が必要だけど。
スーパーテックニックとは?
「これって上絵付じゃないの?」と思ってませんか、「残念外れ ブー」です。下絵付けとイングレーズの絵付け見たいなものかな。
いいかっこして”イングレーズ”などと多分知らない言葉を使ったけど、イングレーズは上絵付の技術で、上絵付をして焼成すると、絵具が釉薬に溶け込んで絵付けが出来るものなんです。でも、これだと上絵付の絵具や上絵の焼成が必要になりますよね。
それでは、そろそろ種明かしをしましょう。この絵付けは”下絵と釉薬による技法”なんですよ。だから、陶芸教室のレベルでも十分使える簡単な技法ですよ。
そう聞くと「何んだそうなんだ。簡単そう」と思うでしょう。
絵具は、赤、ピンク、グルーン、特グリーンの下色絵具、そして釉薬は土灰釉です。
「どうしてこんなに発色が良いの?」と思っているでしょう。このブログを継続して読んでいただいている方は、少なくと陶芸に関する知識はいっぱいのはずですから、当然そう思うと思います。
それから釉薬は土灰を基本にしているけど、緑、黄色、枝の茶色は透明の色釉を少量使ってます。
絵付けの手順と技法
まずは生地だけど、出来れば磁器土。でも磁器土は難しいから、信楽の白などでもOkay. 出来れば、良質なものの方が発色が良くなるでしょう。
最初は少し大き目のモチーフを選んでイッチン描きをします。

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「イッチン描きかい。易しくないじゃん」と思ってるあなた。陶芸ショップなどで、プラスチック容器に口金が付いたのを売ってるから、これを購入するか、私のブログにあるイッチンの作り方を見て自分のイッチンを作るのも良いし、ケーキ作り用のアイシングバッグに0.5~0.7㎜位の口金を付けます。
![[陶芸] イッチン先金 小 - 陶芸ショップ](https://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/tougeishop/cabinet/products/seyuu-etuke/t1210005.jpg?_ex=64x64)
[陶芸] イッチン先金 小 - 陶芸ショップ
後は、白化粧土の沈殿しているもの(上水を取る)をマヨネーズ程度の硬さにして描くだけ。描くのは、素焼き前の生の状態で。
イッチン描きは、花びらや葉の輪郭だけで良いです。そして、これがポイント。花の筋や葉脈は陶芸用の針で描きます。上の写真を見て。針で描いた葉脈が見事に浮かび上がってます。これは、素焼きが終わって、色呉須で塗ると針の溝に呉須が溜まって、濃くなる為です。これを筆で描けるのであれば、あなたは一流の絵付け師さんですよ。
素焼きが終わったら、上の写真二つのように色呉須で絵付けをします。「発色が弱いから、厚つ塗りをする」人が多いけど、これ”厳禁”。絵具が釉薬をはじく原因になり、”縮”と言って釉欠けの原因になります。
発色を良くするための裏技
着色が終わったら、土灰釉で施釉。石灰は良く縮れが出る為土灰釉を使います。
”土灰釉”と言うと”土の釉薬?”と思う人が多いですが、さにあらず。土は雑木と言ういう事なんです。
普通の濃さの土灰を掛けたら、次のステップ。この部分が裏技。
緑の織部、茶の飴釉、黄色の檸檬釉を筆塗りします。もうお分かりですね。色は釉薬の色なんです。そして、釉薬は透明系の釉薬である事。そして、同じ焼成のものを選びます。酸化と還元の釉薬を使うのは不可です。
「色が足りない」と思ってますね。そうです。足りません。
ではどうする。土灰釉を少し準備します。それに下絵の絵具を加えます。この場合は赤、ピンクです。
土灰釉を小さな器に少量とりわけ、少し色が付く位絵具を加えます。大事なことは絵具によってその発色が違います。今回は赤の発色が少し濃すぎました。ピンク位の方がよかったと思います。
結局は土灰釉に顔料を混ぜて色付けをしているだけですので、全て透明釉で、下絵具の発色も見えますから、グラデーションを付けるのに最適です。
まとめ
削り終えた段階で、モチーフをイッチン描きします。細かな線は、陶芸針で。そして素焼きへ。
素焼きに下絵具で着色します。薄い絵具を溜めるように。針で描いた線が浮かびます。
土灰釉を掛け、それぞれの部分を色釉薬や、土灰釉を下絵具で着色したもので筆で着色します。立体感が出るようにグラデーションの方向を意識して。(上の葉っぱのグラデーション、いいね)
イッチン描きの必要性は二つ。釉掛けをしても、絵付けの部分か分かる。そして、色釉を塗った場合、流れやすい釉薬(織部等 例)の流れを止めてくれます。
今回の絵付けでは、花はピンクと赤を使ってますので、それぞれの花の色を事前にメモしておきましょう。
赤にピンクを塗ったり、その逆で会ったり、”やっちゃた”と本焼きでがっくりすることがないように。
最後にもう一つのメリット。上絵付でも多分出来るでしょうが、この方法であれば、酸化焼成一回で済みます。又、上絵付は、鉛等の問題がありますので、この方法であれば、基本的には下絵付けですのでその心配が不要です。
これであなたもプロの絵付け師。。かも?