今日も引き続き、本焼きの紹介です。
最近の絵付けは上絵付が多いのですが、下絵付けの作品を紹介しましょう。
白磁のお皿の下絵付けです。写真はLED照明が写り込んで少し見難いですが、7寸皿(約21cm)のお皿に色呉須で絵付けをして見ました。最後の本焼きで、お皿の中央が落ちてしまいました。お皿の場合、本焼きで、お皿の中央は高台がありませんので少し下がり気味になりますが、今回のように、棚板に触る位下がったのは初めてです。もしかしたら、焼成温度がこの磁器土と合っていないのかも知れません。
何という花か知りませんが、花の配置が少し上に行き過ぎました。釉薬は石灰透明の仕上げです。下絵付けは写真で撮ると、透明釉とは言え、その影響で発色が少し弱まります。
次の作品はいつもの磁器のマルチフェイスの花瓶三点。磁器土の鋳込み、そして磁器の泥漿のイッチン描き。口縁は口紅。口紅は少し薄過ぎました。この部分は上絵付で上塗りすれば問題ありません。金彩を施してもいいかなと思います。
こちらの蓋物は陶土に土灰釉を掛けて仕上げた作品。
これらの作品は最近の作品に最も力を入れているもので、特に、2番目の丸い蓋物は作品のフォルムとしては上手く出来たと思います。全体が丸く、少し”御本(ごほん)"が出ています。この御本と言うのは還元焼成ガスが、陶土の中の鉄分と反応して、薄い赤みを帯びるもので、京都焼きに多い技法です。この為に信楽の土に意図的に僅かの鉄分が配合されてます。
マルチフェイスの花瓶2点は、桜の花と、紅葉がイッチン描きでが描かれてます。このマルチフェイスの絵付けはもう一つ満足が行くところまでは行ってません。丸い花瓶などであれば、一枚の絵で表現出来ますが、この三角形と四角の組み合わせのキャンバスにどう絵付けするのか、迷うところです。いずれにしても、この作品は上絵付で完成をさせたいと思います。少し、華やかに。
陶芸は本当に失敗が多い。出来上がって見ると目に付くところは失敗ばかり。作陶、削り、装飾、施釉、焼成などなどのステップ全てが上手く行かないとまともな作品にはなりませんので、これらのプロセス全てを完璧に仕上げるのは難しい。だから、職人さん達はそれぞれ分業制になっています。謂わば専門性ですね。
それを一人でこなして行かないといけないところに私たちの陶芸の難しさがあるんでしょうね。
この全てをこなせれば、ある面それは天才の領域に入るのでないかと思います。
兎に角、陶芸は幅が広くて、そして奥が深い。だから、失敗も多いし、面白い。たまには失敗が意外な結果をもたらしてくれます。